令和元年10月28日(月曜日)暖かい日差しが照り、心地のよい秋風が本堂の報恩講幕を揺らします。
今年も本堂は満堂となり、ボランティア運営スタッフの声がけに、聴講の方も席の移動を率先してくれるなどなごやかな雰囲気の中、法要が始まりました。
報恩講のときは内陣の飾りもいつもと違います。赤い打敷、朱蝋燭など、そして大きく美しい生け花。準備に駆けつけてくださった檀家の皆様よって飾り付けをおこないました。
記念講演 ひろさちや氏『お釈迦さまの言ったこと』
ひろ先生から電話がありました。「講演会に椅子を用意しておいてくれる?」とのこと(通常ひろ先生は椅子を使わないのです)。続けて、「2月に脳梗塞をやってまだ半身にマヒが残っているので。」と仰いました。
私は驚きました。先生の声が以前と変わらないように思えたので。
先生は「言語中枢は大丈夫だけど、足にマヒが残っているので妻が一緒に来ます。」とのお答え。車でご自宅までお迎えに行きますと申し出ましたが、電車で大丈夫とのことでした。
も~ 私はそれから心配で心配で。「何かあったらどうしよう。」「講演中にお具合が悪くなったらどうしよう。」「でもみんな楽しみにしているし・・・」と。
西来寺に到着したひろ先生は、杖をついていらっしゃいましたが、顔色はいつも通り元気そうで、側では素敵な奥様が支えていらっしゃいます。
講演会が始まると最初ちょっとゆっくりめで話されていましたが、徐々にいつものひろ先生の調子になっていきました。
年内にあと3冊本を出版予定とのこと。ひろ先生の凄さを実感しました!
合掌
西来寺坊守 大塚睦子
講演より抜粋
お釈迦様がいったことのひとつに、「苦集滅道」という言葉があります。
苦集滅道(くじゅうめつどう)、四諦(したい)といいます。4つの真理ということなんですが、このひとつひとつに込められた、お釈迦様がみなさんに伝えたかったこと、ほんとうに言いたかったことをお話します。
苦 人生は苦しいもの?
生きてるときは楽しいことだっていいことだってあるのに、人間だれでも死ぬんだから苦であると?
はたして、それだけなのでしょうか。煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)、私たちは、悩みを持っているから悟らなければならないと、悩みと悟りを分けて考えてしまいます。悩みも悟りも同じものなんだよと、分別(ふんべつ)しなさんな、と仏教は教えられています。
苦とは、「思うがままにならないこと」ですが、「思うがままにならないことを、思うがままにしようとすること」が苦であるというわけです。
集 苦の原因は欲望?
植物のタネというのは芽が出る直接の原因ですが、土や天気などいろんな環境が適当に重なって発芽します。
因縁(いんねん)の「因」とは、直接の原因のこと、「縁」とは、間接的な原因のことを意味します。この言葉のように、夫婦喧嘩もそうですね。できごとの原因というのはいろんなものごとが集まっています。
「原因なんてわかんないんだよ。わからんことはわからなくていいんだよ」ということなんですね。
滅 欲望を無くせばうまくいく?
風が吹けば花が散るとしましょう。風が吹かなければ花は散りませんか? 風が吹きやめば、花は戻りますか? そんなことはありませんね。原因を滅しなさいということは無理なことなんです。流れる水を流してあげること、調節しなさいということ、少しずつ調節しなさいということ、それが滅なんですね。
「欲望を”ほんのちょっと”少なくしなさい」ということなんです。
道 理想は八正道?
「正」という字はとても困りものです。「正」という字の作り、甲骨文字を見てみると、城壁に囲まれた街を軍隊が征服しようとしています。正しいことは皆さんが思っているほどよいことではないわけです。だから、正しいことにこだわらない方がいいのです。煩悩もあっていいんです。
お釈迦様の言った「苦集滅道」は、みなさんがどういうふうに生きればいいのかということを教えています。
それは、おおきな道ですね。
お釈迦様は星みたいなものです。
星をめざして歩けばいいんです
星に到達できないんですね。ぜったいに悟りなんてひらけない。
「わからないことはわからないとわかることがわかる」それが「悟り」なんですね。
みなさん、人生を「のんびり ゆったり ほどほどに」生きていただきたいと思います。
写真集
準備風景
内陣の飾り
法要 – ヨガ – 講演
終演後